「猫まんま」
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何をやっても不器用で、ただ一つのことをがむしゃらに、なり振り構わぬ生き方で、 現代アートの世界に売り出した友人がいる。その年長の友人から「おまえさんのすること はみな、上手に盛りつけた『猫まんま』にみたいなものじゃな」と言われた事があった。 ボクは器用貧乏を絵に描いた様な男だとよく言われた。なんでも器用にやる、が、それ 以上の努力ということを全くしない。努力という言葉がボクの辞書から欠落していたのか もしれない。 「それが俺の不運だった」などと、いまだ天のせいにしているところも無くはない。 我流で始めたイラストや写真、筆文字等では少しは稼げた。が一人前とはなれなかった。 近頃はじめた水彩画や俳句も、我流のまんまで進歩もない。ボクの場合、やること為す事 すべからく、ご飯にかつぶし載せただけの「猫まんま」の域を出られないのである。 「猫まんまみたいなもの」と言う、的をついた言葉。それは今も、ボクの喉に小骨のよ うに引っ掛かっている。 たまにエヘンオホンと咳払いはしてみるのだが。 |
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